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基調講演
~がんの臨床と研究の今~

2022年7月7日(木)16:00~

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​演者

高阪 真路

Shinji Kohsaka

国立がん研究センター

細胞情報学分野ユニット長

​座長

末原 義之

Yoshiyuki Suehara

順天堂大学 医学部 整形外科学教室 客員教授

がんゲノム医療が加速する研究開発

Acceleration of research and development by the cancer genome medicine

近年の次世代シークエンス技術を用いた大規模ゲノム解析研究により、主要ながん種における遺伝子変異データのカタログ化が進み、がんの生物学に対する理解は大きく深まった。2019年から保険診療下で開始されたがん遺伝子パネル検査は、個別化がん医療を加速させるための大きな一歩となった。さらに2021年には血中循環遊離DNA (ctDNA)における遺伝子異常を検出するリキッドバイオプシーの臨床実装が開始されている。

一方、低頻度で存在する膨大な数の変異に関してはそのほとんどの機能解析は未だに行われておらず、これらVUS (variants of unknown significance)の生物学的・臨床的意味づけを行うことが、個別化医療を実践するための大きな課題となっている。そこで我々は変異遺伝子をハイスループットに機能解析することを可能にする新しいがん遺伝子機能解析法 (mixed-all-nominated-mutants-in-one method: MANO法)を開発し、EGFR遺伝子を始めとする様々ながん遺伝子バリアントの機能評価を行い、新規のがん化メカニズムや薬剤耐性メカニズムを明らかにした。また、cfDNA/RNA、循環腫瘍細胞 (CTC)を利用した、高精度包括的リキッドバイオプシー検査を独自に開発し、その臨床的意義付けの評価を行っている。

ゲノム医療の利活用に関する取り組みも開始され、3万例に達したパネル検査結果や診療情報はがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に集約され、診療や研究開発に利活用されている。

本発表では、ゲノム医療がもたらした成果・課題を整理し、今後のがん医療の進展にどのように活用していくべきかを説明したい。

​略歴

2007年 信州大学医学部医学科 卒業

2011年 北海道⼤学⼤学院医学研究科 博⼠課程修了

2012年 Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York, 博⼠研究員

2015年 東京大学大学院医学研究科 ゲノム医学講座 特任助教

2017年 国立がん研究センター研究所 細胞情報学分野 主任研究員

    国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター 情報統合室 室長 兼任

2022年 国立がん研究センター研究所 細胞情報学分野 分野長

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